藤下さんの「自転車生活」VOL.448

■  ラン・バイク・ランやったほうがいいんじゃない!

トライアスロンのトランジションは第4の種目と言われています。
スイムからバイク、続いてバイクからランへと運動が大きく変わるから、スムーズな移行が難しいと言われています。
スイムで体は温まっているのでウオーミングアップができているのに、妙に体が動かないのです。
特にオリンピックで実施されている51.5kmのトライアスロンでは、次の種目の動きへの移行が上手く行かなくても、集団から切れると勝負できなくなるので、無理に動かして付いて行こうと体力を削られます。

筑波大学の大学院生がトライアスロンのトランジションを、博士論文のテーマにして論文を書いていましたが
その頃トライアスロン部のスーパーバイザーをやっていたので、トランジションをスムーズに行えるようにするためのトレーニング方法を一緒に研究していました。
スイムは体を横にして、水に浮遊しているようなモノで、心拍数も呼吸数も上がっているし、筋温も激しい運動をしても大丈夫な状態になっています。
スイムをフィニッシュすると、両脚で立ち上がり、バイクの置いてあるトランジションエリアまで走って移動します。

水から出て、立ち上がって走り出す時に重力をぐっと感じます。
野球のネクストバッターサークルで、重いマスコットバットや、重りの付いたバットを振って重さに慣らしてから、本番用のバットを持って、軽く振れる感じになる逆の現象が起こります。
走り始めると体を重く感じ、心拍が上昇して、血圧も上がります。
ここで前との差を縮めようと走るスピードを上げてしまうと、いきなり1Gの負荷を受けて
筋肉は体の重さをより強く感じてしまい、無酸素で動かすことから乳酸が発生して、バイクで集団に乗れてドラフティング走行できたとしても、出だしでダメージを受けます。

バイクはサドルに座って、ハンドルやブラケットを握って、体重を支えるので、スイムに準じて脚や体幹の筋肉で体を支えないで運動できる種目です。
脚はペダリングでもちろん踏み込んで消耗して行くことになりますが
ドラフティング走行で空気抵抗を分散できるので、集団走行できていればバイクでは見た目の大きな差にはなりにくく
体幹の筋肉は温存することができます。

しかし、バイクでドラフティング走行できたから、脚が消耗していないかと言えばそんなことはありません。
トライアスロンのバイクコースのレイアウトは周回コースですから、必ずいくつかのコーナーがあります。
中には上りセクションが設定されていることもあります。
バイクの実力が低ければ、集団走行の上り坂でのスピードアップや、コーナーの立ち上がり加速に付いて行くだけで脚を使って疲労が蓄積して、ランのパフォーマンスの低下につながります。
持ちタイムが速い選手でも、バイクの力がないと、見た目は一緒に走れても、脚を削られているのでランで不発に終わる可能性が高いのです。

しかも、バイクからランへの移行は、体重や地面を蹴る衝撃を、脚や体幹の筋肉で支える運動になるので筋肉への負荷がいきなり高くなり
運動強度が高まり心拍数は上昇するし、呼吸数も上昇して苦しい感が高まります。
バイクでダメージを受けた脚はストライドも伸びず、いつも通りの走りができなくなります。
ランのトレーニングはスッピンの疲労の無い状態で取り組みがちです。
ショートで40km、ロングなら150km以上バイクで走ってダメージを受けた状態で走るのがレースの現実ですから
ラン・バイク・ランみたいに続けて行って、疲労した状態でランを走るトレーニングを繰り返し、トランジションへの慣れが必要です。

さらに、ラン・バイク・ランの脚が疲れた状態でのランニングの経験で実感できるのは
疲労した時のランのいいフォームをどう維持するかです。
強化すべきポイントを自覚できます。
脚が動きにくいのをいつものように動かすには、体幹の筋肉で上半身の動きと連動させて
脚をサポートする動きにつなげて行く必要があります。
バイクだけでなく、トライアスロンに必要な筋肉を作る筋トレにも取り組んで
できればサーキットトレーニングの直後に、エンデュランス系のLSD トレーニングを入れて
神経系の刺激も同時に加えて動かせる筋肉作り、速筋と遅筋の混ざったタイプ3の筋肉作りができるといいですね。

ロングの男子の世界のトップは180kmライドの後の42kmを2時間半から3時間で走りますショートの男子の世界のトップは、40kmのドラフティングレースのバイクの後、30分を切って走ります。
日本人トライアスリートが世界で戦うには、スイムやランも重要ですけど
つなぎと思われているバイクのタイムトライアル能力の強化も重要なんですけどね。
アイアンマンで平均時速43km、ショートで平均45kmで走り切れる日本人選手がいるのかな?
鈴木店長宮古島TA 頑張って完走してね。
ではでは。

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